下半身のケガ

足首の靭帯損傷(捻挫)と復帰にかかる期間について

足関節担当の三浦(@RyoheiMiura)です。

 

前回、足首の靭帯損傷(捻挫)の復帰基準についてお話ししました。残念ながら、根拠のある明確な復帰基準は現状存在しないという内容でした。

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怪我をした後に気になる点として、復帰にどれくらい時間がかかるか?が挙げられると思います。

実は、いくつかの研究で復帰にかかる時間に関連する因子は調査されています。今回はその結果をまとめた論文を紹介していきます。

復帰が遅くなる要因とは?


同じ重症度の靱帯損傷であったとしても、復帰までの経過が異なることはよくあります

復帰にかかる時間に影響するものとして、食事や睡眠といった生活習慣、競技特性や競技レベル、チーム事情、治療の質や頻度などが挙げられます。やはり最低限必要な期間かつ最短での復帰が望ましく、求められることだと思います。

今回紹介する論文は、復帰までの期間を短くすることができた取り組みや復帰期間を予測する指標がまとめられています。

ただし、“復帰”の定義が調査によってばらつきがあり、どのレベルを指すかは解釈に注意が必要です。

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復帰までの時間に短くしたのはこれだ!


今回紹介する論文で、復帰までの時間を短くすることができたものがコチラ。

・固定よりも機能的治療

・何もしないよりも圧迫ストッキング

・RICE治療だけよりもRICE治療+前後関節モビライゼーション※1

・足首へのヒアルロン酸注射

・アスピリンよりもジクロフェナク2

・受傷後10日まで固定し従来の治療を実施するよりも早期からのチューブトレーニング

※1関節モビライゼーション・・・骨の動きを改善するために行う治療
※2ジクロフェナク・・・非ステロイド性抗炎症薬の1種。解熱や鎮痛のために用いられる。

 

 

また、選手自身に症状をアンケートや質問にて聴取し、そのスコアが良いと復帰までの時間が短くなると示したものもまとめられていました。

・受傷後1日目の足首の機能(アンケートにて聴取)

・受傷後1日目の荷重状態(足を地面につけることができて、歩くことや階段の上り下り、跳ぶ、走ること

ができるか)

・受傷後1日目の自分の運動能力をどう評価するかを主観的に回答

 

これらをまとめると以下のように考えることができそうです。

①受傷直後(1〜3日)の状態がどれだけ良いか


受傷してすぐに歩くことができ、生活に支障がない状態だと復帰までの日数が長くない傾向にあるようです。

これは、当たり前ですよね。

逆に、体重をかけることができない程痛みが強い場合は損傷もひどい可能性があるため用心すべきです。

どこまで安静にすべきか、どれくらいトレーニングをしていいものなのか、選手自身の判断は難しいため医療機関で適切なアドバイスを受けましょう。

②安静にしすぎず積極的に治療をする!


単に休めば大丈夫、というわけでもなさそうです。

 

固定をしっかりするよりも、ある程度時間が経てば動かしていく。

何もしないよりは圧迫して腫れを取るためにできることをする。

痛みがなければ筋力トレーニングを早期から開始する。

 

特にRICE処置は怪我をしてすぐの治療で重要になります。RICE処置については以前記事を書いているのでそちらをCHECK!

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おわりに

今回紹介した論文によると、復帰までにかかる時間を短くするにはいくつかできることがあると示してくれました。

しかし、これは選手だけでは解決できない問題です。

医療従事者や周囲のスタッフが知っておくと、大切な試合に間に合うことができる選手が1人でも多くなるかもしれません。

選手に関わる全ての人が理解し、サポートしていける体制を作りましょう。

 

執筆者:Ryohei Miura(@RyoheiMiura

 

参考文献
タイトル:Factors influencing return to play following conservatively treated ankle sprain: a systematic review.
雑誌:Phys Sportsmed.  2019
著者:Al Bimani SA, Gates LS, Warner M, Bowen C.