下半身のケガ

足首の靭帯損傷(捻挫)の復帰基準について

足関節担当の三浦(@RyoheiMiura)です。

足首の靭帯損傷(捻挫)はスポーツ現場で多く遭遇します。おそらく、みなさんの周りにも1人は必ずいるでしょう。

皆さんは、いつスポーツを再開しますか?

  • 痛みがなくなったら
  • 走れるようになったら
  • ○週間(日)経ったら

 

どのように復帰をしていくか、意見が分かれるところでもあります。

なぜ復帰基準が必要なのか?


それは、足首の靭帯損傷は再発率が高いからです。
過去の記事でも書いていますが、ここが他の怪我と異なる最大のポイントです。

再発する≒復帰した状態が良くない、と言っても過言ではないと思います。

 

では、どのような基準が望ましいのでしょうか?

今回紹介する論文では“つま先が内側に向くようなストレスによって外くるぶしの靭帯を損傷した捻挫”(足関節の外側側副靭帯損傷)を対象とした復帰基準をまとめていました。

スポンサーリンク

科学的根拠に基づいた足関節の外側側副靭帯損傷後の復帰基準はない


実は、復帰基準は確立されていないことが今回の論文で明らかになりました。

・・・残念ながら、現状として“これをクリアできれば競技復帰OK!”という便利な指標はないということです。

それぞれ単独で使用するよりも、様々な要素を組み合わせて復帰までを計画する必要はありそうです。ただ、発生率が高いにも関わらず復帰基準が確立されていないのは衝撃ですね・・・

競技復帰を3つのレベルに分ける


そもそも、競技復帰の定義がしっかり決まらないと基準も設けにくいです。著者らはある文献[文献1]を引用し、競技復帰を3つのレベルに分けるべきだと述べています。

 

①Return to participation
競技復帰前の段階で医学的及び身体的、心理的に競技復帰できる状態ではないがトレーニングをこなすことはできる状態

 

②Return to sports
競技復帰したが本人が望むパフォーマンスレベルには達していない状態

 

③Return to performance
怪我する前の時点と同等もしくはそれ以上の状態で復帰している状態

 

単に練習に参加できるだけでなく、症状がないか、試合に出場できるのか、など条件は様々です。

足首の靭帯損傷についても、同様です。

予後因子、危険因子を評価する


著者らは2018年のガイドラインに記載された予後因子と危険因子を復帰前の治療で考慮すべきだと述べていました。

 

以前ぷれふぁでまとめたものがあるので内容はそちらをご確認ください。

あわせて読みたい
足関節外側側副靭帯損傷(捻挫)の危険因子について足関節の外側側副靱帯損傷、いわゆる捻挫はスポーツ現場で多発する怪我です。 皆さんは足関節捻挫について、どれくらい知っていますか? ...
あわせて読みたい
足関節外側側副靭帯損傷(捻挫)の予後因子について前回は足関節捻挫の危険因子について紹介しました。 復習になりますが、“足首が固い・神経の機能が低下している・バランス能力が低い選手が捻...

 

“悪い経過をたどる要素は何か”“再発する要素は何か”を復帰前にチェックすることで競技に戻ることができるレベルかどうかを評価する必要がありそうです。

以上が今回の論文の内容です。

おわりに

今回紹介した論文では、足首の外側側副靭帯損傷の明確な復帰基準はないという結果でした。

しかし、実際には復帰前に状態を評価することは必須です。先程提示した復帰の定義からもどのタイミング(状況)を評価するかは考えていく必要はありそうですね。

そして復帰してもなかなか痛みが取れない人や復帰に向けて何が必要かわからない人は、病院を受診して正確な評価をしてもらうことをお勧めします!

 

執筆者:Ryohei Miura(@RyoheiMiura

 

参考文献

タイトル:Criteria‐Based Return to Sport Decision‐Making Following Lateral Ankle Sprain Injury: a Systematic Review and Narrative Synthesis
雑誌:Sports Medicine. 2019
著者:Bruno Tassignon, Jo Verschueren, Eamonn Delahunt, Michelle Smith, Bill Vicenzino, Evert Verhagen, Romain Meeusen.

 

引用文献

1. Br J Sports Med. 2016 Jul;50(14):853-64. doi: 10.1136/bjsports-2016-096278. Epub 2016 May 25.2016 Consensus statement on return to sport from the First World Congress in Sports Physical Therapy, Bern.Ardern CL1, Glasgow P2, Schneiders A3, Witvrouw E4, Clarsen B5, Cools A6, Gojanovic B7, Griffin S8, Khan KM9, Moksnes H5, Mutch SA10, Phillips N11, Reurink G12, Sadler R13, Silbernagel KG14, Thorborg K15, Wangensteen A16, Wilk KE17, Bizzini M18.