上半身のケガ

野球肘を予防したい!ケガをするのはどんな選手?

肩・肘担当の濱田(@KoHamada39)です。

「野球肘」という言葉は、野球をしたことがない人でも一度は耳にしたことがある方も多いのではないかと思います。

それだけ、野球選手の肘にケガが起こりやすいことを物語っているのだと思います。

近年ではメディアでも投球数の多さが取り沙汰されており、各野球連盟でも対策が取られています。

ただ、本当に球数だけが悪なのでしょうか。

野球肘を起こす原因


肘を痛める要因(危険因子)は大きく分けて2つ存在します。
ざっくり言うと、それが改善できるものできないものか。

例えば、年齢や体重。
年齢でいうと11-12歳が肘の内側を痛めることが多いと報告されています。
この原因として、この年齢は5-6年生に該当し、どうしても試合出場機会が増えることが考えられます。

練習量が多いほうがそれだけ負担はかかりますし、試合に出る量が多ければそれだけケガもしやすいということです。

でも選手が試合に出たい以上、これは仕方のないことですね。体重もそうです。膝のケガは、体重が重い人のほうがケガしやすいことがわかっています。

 

一方で改善できるものはどうでしょう。最もわかりやすいものは投げ方ですね。一般的に、投げるときの肘が下がっているとケガをしやすいということは浸透していて、イメージしやすいかと思います。

肘が下がると、肘の外反ストレス(肘が外に引っ張られる方向への力)が強くなり痛める危険性が高くなります。

あとは、身体の柔軟性や筋力などですね。

同じ練習量でも、身体にストレスがかかりにくい身体の使い方ができているかいないかで、ケガの起こりやすさも変わってきます。

私達はここに着目して障害予防の大切さを伝えられるよう情報発信しています。

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具体的に、ケガと関連しているものは何なのか。


では実際に、少年野球選手を対象に何がケガと関連しているのか調査した研究を紹介します。

353名の少年野球チームに所属する選手が集まりました。選手1人1人の過去のケガや、ポジション、野球歴、練習日数などを聴取し、肘の痛みをみる検査、超音波診断装置による骨と軟骨の検査、身体の可動域や筋力・姿勢を検査しました。

その後、3ヶ月毎に超音波検査と痛みの検査を行い、ケガが起こっていないか1年間かけて追いかけました。

 

ちなみにここでの「ケガ」とは、

“超音波検査で異常がみられたとき”

“痛みの検査で異常がみられたとき”

“投球時の痛みがみられたとき”

のうちどれかが当てはまった時を「ケガ」とみなしています。

1年間で9.6%が肘の内側を痛めた


1年間の追跡調査で、353名中34名(9.6%)が肘の内側を痛めました。ケガをした選手と、ケガをしなかった選手の違いをみるための解析を行うと、

肘の内側を痛めた選手の特徴は

投手であること

1日100球以上投球していること

9歳以上の年齢

胸椎後弯角度30°以上

肘の伸展可動域の不足(−5°)

でした。

胸椎後弯角度とは

胸椎後弯角度とは、背中の曲がり具合です。この角度が大きくなればなるほど猫背であるとのことです。

詳細は写真のとおりです。

肘伸展可動域とは

肘の伸び具合をみるものです。上腕と前腕とが成す角度を測ります。

健常ではまっすぐのびますが、野球を小さいころからやっている選手は肘がキレイに伸びないことが多々あります。

まずは改善できるものから行う


いま世の中では、野球選手を守るために野球界の風潮を変えていこうという風が吹き始めています。もちろん、登板間隔だとか、投球数も大いに関連するものなので重要です。

ただその前に、改善できることから改善していけば、もしかすると楽しい野球、楽しめる野球を取り戻せるのではないかと思います。

今回は、ケガに関連する身体の要因をお伝えしました。
次回は、その身体をどうすれば変えられるのか、どうすればケガを予防できるのかをお伝えします。

 

参考文献
Sakata J et al. Physical Risk Factors for a Medial Elbow Injury in Junior Baseball Players: A Prospective CohortStudy of 353 Players.Am J Sports Med. 2017